勉強が好きになる方法
勉強が好きになる方法
正しい「動機づけ」が大切
小・中学生の中には、残念ながら「勉強があまり好きではない」という子がいます。「どうして嫌いなのか」というアンケートをとってみると、回答はおおむね次の3つにまとめることができます。
「勉強が面白くない、つまらないから」
「成績が悪いって、叱られたり、バカにされたりするから」
「親や先生に、無理やりやらされるから」
勉強は「やればできる」ということを、実はみんなわかっているのです。「できるようになりたい」という気持ちも、本当はすべての子どもが持っていることでしょう。しかしこのような理由が元で「本来やるべき勉強」から遠ざかり、それが進学や就職に影響を及ぼすとしたら、こんなにもったいないことはありません。子どもたちの背中を押してあげるために、周囲の大人にできることはないでしょうか・・・?単純ですが、上記の“逆”を追求すればよいという考え方もできます。
「勉強が面白いと思えるようにする」
「たくさん褒めてあげる」
「すすんでやりたくなるような勉強を与える」
要するに、学習の『動機づけ』が大切ということになります。
“勉強好きの好循環”を生み出すために
子どもたちに適切な『動機づけ』を行い、“勉強好きの好循環”を生み出します。そのために、以下の3つを重視して指導に取り入れています。
勉強好きの好循環
(1)内発的動機づけ
「学びそのものが持つ本来の面白さ」に触れることによって、やる気を引き出す方法です。人間は他の動物と違って「未完成」の状態で生まれてくるため、脳や身体を発達させようと積極的にいろんな物事を習得しようとします。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは、周りの音・光などの刺激に反応し、身の回りにある全てのものに興味を持ち、溢れんばかりの好奇心を示します。これは、全ての子どもに生得的に備わったもの。その好奇心を刺激し、さらに大きく膨らませてあげることで、「やる気の芽」を伸ばすことができます。
(2)外発的動機づけ
「褒めてもらえる」「認めてもらえる」など他人から与えられる報酬によって、やる気を出させる方法です。当然ですが、人は叱られたりバカにされたりすれば、モチベーションは下がります。幼い子どもは、なおさらのこと。面と向かって叱られなくても、身近な大人のちょっとした言動から「やっぱり自分はダメなんだ…」と思い込み、それが学習意欲を低下させてしまいます。成長のリズムは一人ひとり違うもの。他人と比べるのではなく、「ちょっと前の自分」と比べて、「いまの自分」が少しだけでも成長したというところを見つけ、認めてあげることで子どもは伸びていきます。また、結果ばかりを評価するのでなく、まずは「がんばった」という事実を認め、たくさん褒めてあげること。それにより子どもは、「もっとやってみよう!」と笑顔で勉強に向かうようになります。
(3)学習の習慣づけ
成績優秀な子は、必ずと言ってよいほど学習習慣が確立しています。逆に「勉強嫌い」が身に染み付いた中学生や高校生に毎日勉強させるのは、決してたやすいことではありません。何事においても、習慣づけは幼少期から始めるのがベスト。小学校低学年のうちから正しい方法で指導することで、きちんとした学習習慣を身につけさせることは可能です。「ご飯を食べたら歯を磨く」「プールに入る前に準備体操をする」などと同じように、「毎日勉強する」時間を生活リズムに組み込んでしまえば、それはやがて日常の中の習慣として定着していきます。一度身についた習慣は、人生を通じて継続します。それゆえ、勉強の習慣づけは低学年からの働きかけが特に重要であると言えます。
「勉強=イヤなもの」という考えを捨てよう
子どもに勉強してもらいたいのなら、上からガミガミ言うのではなく、違うアプローチが必要です。まず4〜9歳の子どもなら、「勉強するのは楽しい」という感覚を養うことがことが先決と言えるでしょう。では、どうすれば子どもに「勉強=楽しい」と思ってもらえるようになるのでしょうか。
最初に変わるべきなのは、子どもではありません。お母さん、お父さんが意識改革をすることが不可欠です。具体的には、お母さん、お父さん自身が、「勉強=イヤなもの、つらいもの」という考えを捨てることが必要です。
そもそも、子どもは「勉強することが楽しい」と思っているものです。子どもは好奇心のかたまりですから、世の中のことを何でも知りたいと思っています。
3〜4歳になると、あれこれ教えなくても、
「なんでアリは穴をつくっているの?」
「なんで空は青いの?」
「なんで月の形は変わるの?」
といろいろ聞いてきます。勉強したくて仕方ないのです。
それにもかかわらず、子どもが勉強嫌いになるのは、たいがい親の影響なのですが、それはガミガミ言われることだけが原因ではありません。実は、親が無意識に、「勉強=イヤなもの」という前提で話すことで、勉強に対してのネガティブな印象を植えつけていることが非常に多いのです。
子どもに勉強してほしい時、このようなことを言っていませんか?
「勉強をさっさとやってしまいなさい」
「早く終わらせれば、たくさん遊べるでしょ」
「みんなやっているんだから、あなたも勉強しないとダメでしょ」
一見、何の問題もないセリフに思えますが、ちょっと考えてみてください。楽しいことに対して、このような言葉を使うでしょうか?
「早く遊びを終わらせれば、たくさん勉強ができるでしょ」
「みんなやっているんだから、あなたも遊ばないとダメでしょ」
などとは言わないはずです。
このように、無意識に発する言葉の端々に「勉強=つらくてイヤなもの」という意味が込められていることは少なくありません。それを聞き続けていると、子どもにもいつの間にか「勉強=つらくてイヤなもの」というように刷り込まれてしまうのです。
このように「勉強=つらくてイヤなもの」というイメージは、お母さん、お父さん自身も、その親から刷り込まれている可能性が高いのです。だから、子どもの時にガミガミと言われて、勉強を強要されてきた親ほど、このような言い方をしてしまいがちです。
子どもを勉強好きにさせるには?
さらに「勉強=楽しいもの」ということを子どもに理解してもらううえで、最も効果的なのは、親が「勉強を楽しんでいる」姿を見せることです。たとえば、子どもに本を読んでほしいなら、親が楽しそうに本を読む姿を見せましょう。難しい本でなくてもかまいません。
すると、子どもは「お母さん、お父さんは楽しそうに本を読んでいる。本を読むのって、そんなに面白いのかな」と感じ、試しに読むようになります。こうして読書の楽しさを知ると、国語も本を読むようなものだととらえて、勉強のハードルが下がります。本好きの子どもの親は、大抵の場合両親どちらかが本の虫です。
また、囲碁やパズルなど、じっくり考えるものに没頭している姿を見せるのも良いでしょう。子どもも親と同じように、囲碁やパズルをするようになります。
「考えに考えて答えを出すのはすごく面白いんだな」ということがわかると、勉強でも、考えることが必要な問題を嫌がらずに、むしろ楽しそうに取り組むようになるでしょう。そうした親の姿を通じて、子どもは勉強の面白さを学ぶのです。
勉強でなくても、「頑張っている・懸命に生きているところ」を見せるのでもかまいません。仕事を頑張っている親の姿を見れば、子どもは「頑張ることは、カッコイイことなんだ」と学びます。
逆に、最悪なのは、子どもに「勉強しなさい」と言いながら、親がテレビを見たり、スマホでゲームをしたりしていることです。そんな姿を見れば、子どもは「僕には勉強しろと言いながら、お母さんはテレビを見ているじゃないか。お母さんも勉強しなよ」と言い出します。
そんな時「子どもは勉強するものなの!大人はいいの!」などと返しがちですが、子どもはまず納得しないので注意してください。子どもは言葉より行動を見ています。